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旧北上川の勾配

海水‶遡る″旧北上川

日本の川の急流ぶりを言う時、必ず引き合いに出されるのが「これは川ではない、滝だ」という言葉です。明治政府のお雇い技術顧問ヨハニス・デ・レイケ(オランダ人)が常願寺川(富山県)を見た時、言ったとされています。3千㍍級の北アルプスから一気に流れる常願寺川の平均斜度は30分の1とか。無理からぬところです。

ところで、わが旧北上川のそれはなんと9,050分の1とのこと。比較になりません。河口から30km(豊里大橋付近)上流でも川底の高さは河口部の標準水位以下にとどまります。ということは塩水が混じっているということです。しかし、実際は途中の堰などでそれはさかのぼることはありませんが。

それにしても、1mの高さから9,050m流れた水の先端はどうなっているでしょう。単なる水たまりにしか見えないでしょう。これが三角州の発達する要因にもなります。例えば机にこぼした水です。水は重力とその嵩でより低い所へ流れていくだけです。どこへ行くかは机自体の傾き、くぼみ、キズ次第。アマゾン、ナイル川を想像していただければいいです。

この流れを制御する手立ては堤防が一番です。というわけで仙台藩歴代藩主は北上川改修に取り組んだのです。結果的に美田ができました。

今、旧北上川河口から太平洋(石巻湾)に流れている量は毎秒2,500tだそうです。それも中瀬岸を洗っている流れは実は、鳴子、栗駒を源流とする迫川、江合川の水なのです。岩手源流からの水は脇谷水門、鴇波洗堰によってすべて、明治期以降に順次整備されてきた新北上川を流れて追波湾にそそいでいます(洪水時を除く)。その量は毎秒8,700tとのことです。

そう言われれば大河の趣も、旧北上川

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